数日前から実は、研修で東京に出てきています。
研修所の宿舎が取れなかったので、実家がよいです。
お世辞にも近いとは言えない距離ですが、楽しいこともあります。


そのうちの一つが、本屋に入り浸ること。
長野では本屋に行くのにも、車を出さなくてはいけなかったり、
そもそも蔦屋書店だらけでどこも品揃えが似たり寄ったりだったり
なかなか本を眺めて楽しめませんでしたが。


さすが東京!
さすが都心!
ちょっと見回せば、小さい本屋から大きい本屋まで、よりどりみどり。


そんなわけで、久しぶりに読んだ本紹介です。


鉄子の旅 6 (IKKI COMIX)

鉄子の旅 6 (IKKI COMIX)


5年にわたった連載が終わってしまいました。最終巻です。
私、いまだに本屋で掲載雑誌のIKKIを見たことがないんですが、雑誌の影の薄さに比べて単行本はどこの本屋でも全面に押し出されてる人気作です。

私は、この作品をここまで引っ張ってきた要素って、菊池さんの絵柄が大きいと思います。
トーンを多用せず、細い筆跡で丁寧に描き上げられた駅や列車は、写真とはまた違った魅力を感じさせてくれました。多分、取材時に資料として撮った写真をもとに描き上げられているのだと思いますが、描かれた駅に実際に降り立ってみると、まさにこの漫画の「絵」が実際の駅の魅力を表現しているのを感じられます。


内容については、また日を改めて。
キクチさんカミムラさん、そして横見さん、お疲れ様でした。


最長片道切符の旅 (新潮文庫)

最長片道切符の旅 (新潮文庫)


乗り鉄のバイブルのような書です。
数年前に一度読んだのですが、本棚から出てきたので再読してみました。
2004年ごろ、NHKで「最長片道切符の旅」の中継番組が放送され、人口に膾炙した感のある最長片道切符ですが、ルーツはずっと昔。この本の書かれた頃にはもうすでに、整数問題のモデルケースとして研究の題材にされていたようです。


当時、青函トンネルはまだなく、そのかわり四国へ渡る航路が2本ありました。北海道を見れば、天北線があったおかげで稚内が始発点ではなかったし、九州の筑豊炭田付近では怪奇とも言える乗り継ぎをすることができました。
今、路線図を見ると、どこも見違えるようにスッキリしています。


旅行を繰り返すうちに、頭の中に「今の」路線図が焼き付いてしまっていて、
昔に存在していたはずの路線は、私の脳内のどこにも入る隙間はありません。
古い写真や地図を見て、そこにあったことがわかっていても、
実際に見たことも乗ったこともない路線の情景をイメージすることは、極めて難しいのです。


この本は、そんな失われた情景を、私に味わわせてくれました。
最長片道切符の旅」には、写真はたった一枚しか出てきません。(それも、切符そのものの写真だけ)
でも、宮脇氏の簡潔な筆致は、現在の駅や路線の風景に負けないほどに、
いきいきと鮮明に「生前の彼ら」を描き出しています。


おすすめです。