JR貨物時刻表


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3月18日に発行された、社団法人鉄道貨物協会の「2007JR貨物時刻表」が届きました。
ちょっと前までは、貨物列車には特に興味がなかったのですが、近頃各地に旅行するたびに、様々な貨物専用線や、長大な貨物列車が走り回っているのを目にするにつれ、貨物輸送がどんな態勢でおこなわれているのか、日本の動脈として貨物列車の寄与するところはどのようなところかに強い興味を覚えるようになりました。


簡単に言うと、貨物線萌え!ってことですね。


では、そんな貨物時刻表の中身を紹介してみることにしましょう。

じつはミーハーさん向け?


表紙はなんとなくJR時刻表のイメージを踏襲しているようにも見えますが、発行は交通新聞社ではなく、鉄道貨物協会という組織です。貨物輸送の促進とか研究とかしてるようです。


表紙をめくると、いきなりグラビアページです。グラビアを飾るのは、全国的に大人気なEH500電気機関車。エコパワー金太郎さんですね。いきなり萌え萌えです。
基本的に荷主用に発行されている時刻表ですが、数年前にタモリ倶楽部で取りあげられてからは一般にも知られるようになり、鉄道ファン向けの写真企画(貨物列車の写真募集)などを始めたようです。なかなか格好良い。


グラビアの後は、普通の時刻表と同じように、平成19年3月改正の要点をまとめたページがあり、続いて全国の路線図です。これが白眉。
基本的に貨物輸送に関係している路線や駅しか書き込んでないので、ほぼ幹線しかないような印象。しかしよく見ると、凡例に「第1種免許区間」「第2種免許区間」の区別が。そう、JR貨物にとっての第1種免許区間貨物専用線がさりげなく書いてあるのですよ。(当たり前といえば当たり前だけど…)意外だったのは、東京貨物ターミナル〜浜川崎の東海道本線貨物支線が2種免区間だったことかしら。


山陰本線は、益田〜岡見間と伯耆大山〜東松江間を除いて、いっさい貨物輸送が行われてないようです。ただし、路線図上は点線で記入してあり、「運賃計算キロ程として使用できる区間」とあります。これ、ORS*1に発着する場合に使うんでしょうかね? それとも、貨物輸送実施区間の都合で遠回りした場合、最短距離で運賃を計算してくれるんでしょうか。詳しい方、教えてください…。

見慣れない駅名がたくさん


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いよいよ時刻表本文です。
交通新聞社JTBの時刻表など、旅客時刻表を見慣れた目には、やや奇妙に映らなくもないデザインです。旅客時刻表は一駅の行高が一定で上詰めですが、この貨物時刻表は、割り当てられたスペースに均等に割り付けてあるので、2駅しかないような路線ではかなり間延びして見えます。貨物扱いをする駅と、運転停車など運行に関係のある駅しか書いてないので、そもそも駅数が少ないのもあるのかな…。貨物扱いのない運転停車も、カッコ書きで着発時刻が書いてあります。有り難い。

読んでいくと、まず列車の並び順がよくわかりません。明らかに最初から最後まで後ろを走る列車が先に書いてあったりとかします。もうちょっと読み込めば法則が掴めるかな?
ほかに、貨物線の特徴でもありますが、本線上に貨物駅を作らず、引き込み線上に駅があることが多いのですが、旅客時刻表のように太線で線区の切れ目が明示してありません。列車が「通過(|)」ではなく「通過せず(‥)」表示になっているので、そうであることがわかりますね。


この時刻表、付録として、東海道山陽方面、日本海縦貫方面、東北・北海道方面の3枚の貨物ダイヤグラムが付いてます。和紙のような良い紙にぎっちりと書き込まれたスジは圧巻! 横線は貨物駅にしか引いてませんが、よーく見ると縦軸にポツがあって、見えないような小さな字で旅客駅の電略が…。スゲー。

謎の長大路線


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そのほか、各地の臨海鉄道や、貨物扱いのある私鉄の時刻表が並んでます。けっこうあるんですね、臨海鉄道って。
で、京葉臨海鉄道のページをよく見てみると…。
起点の蘇我から、終点の京葉久保田までのキロ程が119.0キロとか書いてあるのですよ。
…房総半島の先まで伸びてるんですか?


…時刻表のどこにも説明が書いてないみたいなんだけど、どうやらこれ、運賃計算キロのようです。営業キロは22.2km*2。…5.3倍ですか。


他にも、各種の貨車・コンテナの形式や特徴、機関車運用表(仕業一覧)、コンテナ取扱駅構内配線略図など、貨物に興味があるなら垂涎モノのデータが満載です。でも、この運用表、読み方が書いてないので半分くらい意味わからないんですが…。勉強しないと。

一読して


ところで、この時刻表、やや誤植が目立ちます。
ざっと見でも、小坂鉄道の53レの茂内通過が1時間早く書かれていたり(始発駅発車より前!)*3、路線図上で東浦駅東通駅になってたり*4、常紋(信)が常絞(信)になってたり*5、かなり愉快。
ほかにも、京急大師線小島新田駅手前から川崎貨物駅に短絡線が書かれてたり(撤去済み)*6と、構内配線略図も丸飲みはしない方が良いかもしれません。


とはいえ、フルカラーページも多く、これだけの情報が手に入るのなら、定価の2400円も決して高価ではないと思います。取り扱い店舗が多くないので入手は多少面倒ですが*7、オススメですよ。

*1:オフレールステーション。貨物列車は発着しないが、そのかわりに近隣の貨物発着駅までトラックによる輸送をおこなう「駅」。山陰本線には湖山・福知山などにある。

*2:Wikipedia:京葉臨海鉄道

*3:P.145

*4:P.24

*5:P.310

*6:P.287

*7:通販はnet@book書泉鉄道e倶楽部あたりで可能です。取り扱い店舗一覧はこちら