北海道行きたい


ここ数日、急激に北海道分が不足してきています。正確に言うと、北海道の秘境駅分かな。
ヒマさえあれば、旧国鉄の仮乗降場の写真を集めたサイトやら、JR北海道の全駅写真集を眺めては、
「あーここ行きたいなぁ、ホームに座って日がな一日通過する列車を眺めていたいなぁ」
などとため息をついてばかり。ほかにやる事あるでしょうが!


というわけで、今日は、そんな北海道の小駅のことでも。

駅の好みを自分で考察してみた


仮乗降場が大好きです。


仮乗降場は、国鉄時代の全国版の時刻表には載ってすらいなかった*1、簡易的な乗降場です。
特徴を挙げるならば、

  • 副本線などはなく、本線にちょこっとプラットホームが横付けされているだけ
  • ホームの長さは長くて2両くらい。短いものだと、1両(20m)にも満たないことも
  • ホームは木の板張りが多い。場合によっては、コンクリートのことも
  • 駅舎は存在しないか、物置くらいの大きさ。古い2軸貨車(ワムとか)を置いてあることも。どちらにしろ、普通の駅舎のように通り抜けられる構造にはなってないことが多く、出入り口は1箇所の簡素な構造
  • 大抵は道路沿いに作られるが、たまにそうではない例外も。そうなると、誰が使うのかもよくわからない秘境駅になりやすい


写真で見ると、こんなとこです。



2006年4月に廃止された北海道の第3セクターふるさと銀河線(旧国鉄・池北線)の笹森駅です。かつては仮乗降場でした。
ホームは木製で、森の中です。誰が使うんだと思ったら、この時は鉄道ファンが降りてました。


今の世に、仮乗降場というものはありません。JR化時に、すべて駅に格上げされたからです。
その多くは、路線の廃止とともに消えてしまいました。
しかし今でも、北海道にはわずかですがこういう小駅が残っています。

仮乗降場好きのルーツ


なんでこういう、悪く言えば粗末な仮乗降場を好きになったんだろう?
と、考えているうちに、一つのルーツにたどりつきました。
1989年に廃止された、名寄本線の班渓(ぱんけ)仮乗降場です。


さいきの国鉄・JR駅舎訪問 名寄本線


このページの3番目にある班渓仮乗降場は、写真で見る限り、あたりは一面森で、駅につながる道も見えないほどの場所にあったようです。
言葉では言い表しにくいですが、もうそれだけで胸が熱くなってきます。行ってみたい!


この駅で列車を降りて、その列車が行ってしまったら、聞こえてくるのはおそらく風の音と、風に吹かれた木の葉の音だけでしょう。
遠くから狐の鳴き声が聞こえて来るかも知れません。
駅の写真を撮って撮って、撮り尽くして、やる事がなくなりました。
携帯は圏外。
ぐるーっとまわりを見回しても、森、森、木、そしてレールだけ。
太陽がゆっくりと頭の上を通ります。
人がひょっこり迷い込んでくるなんてことがありえない木がする場所。
ついに、板張りのホームに寝ころんで、空を見上げてみます。
まぶしいので、ちょっと目を細めて。
身体の動きを止めると、急にしんと静まりかえったように感じます。
こことここの周辺に居るのは自分だけだ、という寂寥感に浸りながら、駅名標を見上げると、そこには「ぱんけ」の文字。
なんだか妙に面白くなって、腹を抱えて大笑い。ぱんけ! ぱんけだって!


少しずつ、陽が傾き始めます。心なしか風も冷えてきた様子。
数時間も他の人の気配を感じないと、やっぱり人恋しくなります。
しかし、こんな辺鄙な地に、本当に誰かが訪ねてくるんだろうか?
自分はこの場所に来た最初で最後の人間なんじゃないかな?


…なーんて、不安になり始めたころ、木々の間から不意に列車が姿を現すのです。
何事もなくそれに乗り込み、駅を後にします。
残されたのは、本当の静寂だけ。



……あ、カメラバッグ置き忘れてきた。


今はいずこに


まあ、こんなオチが付いたら最悪ですが、こういう旅をしたいなーという夢を見ているわけです。
しかし、この班渓駅も今はなく、じゃあ今はどこへ行けばいいんでしょう?


国鉄時代、仮乗降場はほとんどの路線にありました。昭和58年に開業した石勝線や、昭和63年開業の海峡線のような新しい路線にはありませんが。
そんな中から、素敵なプレイスをセレクトするポイントは、こんな感じでしょうか。

  • 単線区間 もちろん、いまだかつて交換設備があったことがない。広いヤードが目の前に広がってたら興ざめですよ。
  • 林の中がねらい目。すぐ横を道路が通っていないことも確認しましょう。ホームは静かでも、横の国道をトラックがブンブン飛ばしてたらダメ。
  • 駅の前後が木などで見通し悪くなっていると、突然列車が出てくるサプライズを味わえます。特急が走る路線だとスリル倍増!

こういった駅を探してみると、……無いんですね、これが。
そんな駅、客が居る訳がないので、当然すでに廃止されてたり、路線ごと消えていたり。
上雄信内駅や南下沼駅などは、そういう条件をいくらかは満たしていたと思うのですが、2006年に廃止されてしまいました。



2006年1月当時の宗谷本線南下沼駅。クリックすると拡大


駅の写真サイトを巡って、ようやくいくつかの良さそうな駅を見つけました。
宗谷本線は、小駅が比較的多いうえに、スーパー宗谷が130キロで突っ走るので、スリルまで味わえます。
根室本線新得〜釧路間は、開けた土地が多いですが、探せば雰囲気の良さそうな駅が見つかりそう。


今年の夏は、是非とも北海道でゆっくり小駅巡りをしてみたいものです。

*1:北海道で販売されている、「道内時刻表」には記載されていました。