ラーメンのメンの固さ
ラーメンが好きです。
小池さんには負けますが、ラーメン大好きです。
きっと、今これを読んでるあなたも、87%の確率でラーメンが好きなはずです。
残り46%の人も、ラーメンは少なくとも嫌いではないはずです。
足すと100%超えるって？ そんな事は知らん。
では、どんなラーメンが好きですか？
こう聞くと、これまで一枚岩だったはずのラーメン好き党は四分五裂して、雲散霧消してしまうんじゃないでしょうか。
それほどまでに、ラーメン好きさんの好みは多種多様です。
今日はそんな好みのうち、メンの固さの話。
「固いメン」？
私はなんといってもメンは固めが好き。
固さを指定できる店では、迷わず「一番固くして！」と頼みます。
固さを指定できない店でも、とりあえず「固いのが好きなの……」と媚びます*1。
たまにラーメン以外のものを出されたりします*2。
話がそれましたが。
店によって、「固いメン」を表す符牒は違います。
わかりやすいのは、「かため」「超かた」などでしょうか。
一目見ただけで、固いことがわかりますね。
では、これはどうでしょう？
「バリカタ」「ハリガネ」「粉落とし」
この3種類がメニューに並んでたとき、あなたはどれが一番固いと思いますか。
メンの固さへの異なるアプローチ
では、3つの符牒を比べてみることにしましょう。
どれも同じ意味じゃないかって？ 違うのです。
バリカタ
文字通り、「バリバリに固い」の略なんでしょうか。「カタ」の2文字が入ってることから、直接的に固さを表しています。「バリ」は、どのように固いか、もしくはどれぐらい固いかを表す接頭辞といえます。
では、「バリバリに固い」って、どのくらい固いんでしょうね？
「バリバリに固い」と「バキバキに固い」と「ガンギガンギに固い」を比べて、一番固いのがどれで一番柔らかいのはどれかを正確に言える人はいないでしょう。というより、正解がありません。
ということは、「バリカタ」は、正直に言うと、それなりに固いという情報しかありません。
ハリガネ
固いメンを「ハリガネ」と呼ぶ店もあるようです。
ハリガネは固い。すなわち、ハリガネのような固さのメンである。いわゆる「比喩」ですね。
では、どのくらい固いのでしょう？
今、たまたま手元に針金が一本ありますが、じつに柔らかいです。（LANケーブルを買ったときにケーブルをまとめてた奴なので）
針金といっても、いろいろな種類があります。ハンダ線など、（これを普段から針金と言うかは別として）くにゃくにゃで、どうやっても固い物のたとえとは思えません。一方で、手で曲げられないくらい剛性の高いものもあります。
つまり、「ハリガネ」は、「そのメニューを作った人の頭の中にある針金の固さ」という意味合いしか持ちません。本当の固さは、作者以外にはわからないのです。もしかしたら、いつも超柔らかい針金を使っている人かもしれません。「ハリガネ」を頼んだらヤワヤワのメンが出てきたとしても、誰を責めることもできません。
ただし、ここで一つ補足しておきますと。
いくら柔らかい針金であっても（それこそ、ハンダ線であっても）、メンよりは固いことは直感的にわかります。そのことから、「（メンと比べると固い）ハリガネくらいの固さ」という意味に解釈すれば、少なくとも「普通」より柔らかいメンが出てくることはないでしょう。
粉落とし
これ、あまり見慣れない人も居るかもしれません。
一見すると、メンの固さなんか関係ないじゃん、と思われるかも知れませんが、実際にこの符牒を使ってるラーメン屋は存在します（私の行きつけのとこ）。
意味は、文字通り「粉を落とす」こと。「粉が落ちるくらいだけお湯にくぐらす」という意味合いです。お湯に入れれば粉はすぐに落ちますから、ほとんど最小限のゆで時間と考えられます。
「ゆで時間」という具体的な数字が、はじめて出てきました。
「ゆで時間」が決まると、メンの固さは一意に決まります。
ゆで時間とメンの固さは単調減少の関係にあるためです。
そう考えたとき、私は重大なことに気がつきました。
前の2つは、「メンの固さ」を「相対的に」表現しているだけです。したがって、「実際にメンがどれくらい固いのか」「この店では、その固さが一番固い固さなのか」を読み取ることはできません。
しかし、この「粉落とし」には、具体的な調理方法、さらに言うならば、絶対的なゆで時間の情報が（間接的表現にせよ）含まれているのです。「粉が落ちるまで」という、本当にわずかな時間という情報が。
